LABORATORY OF FOOD ANALYSIS AND QUALITY CONTROL

鹿児島大学水産学部 食品生命科学分野

食糧管理分析学研究室へようこそ!


 1982年に元廣輝重先生が初代教授として研究室を立ち上げ、1988年に板倉隆夫教授が米国のNIHから遺伝子工学という新しい研究手法を鹿児島大学のなかでも先駆けて取り入れて、研究室は発展してきました。研究室の系譜を引き継ぎ、「ダイオキシン類で光るトランスジェニック・メダカ」の作出や「光るウナギの筋肉」など海洋生物の潜在的な能力の研究から、人の感覚に基づく「お魚のおいしさ」や「安全性」を科学しています。社会に羽ばたく力をつけるために新しい技術も取り入れて、研究室のメンバーが一丸となって、これからも歩んでいきます。4年に進学される学生、大学院を希望する学内・他大学の方の研究室訪問も大歓迎です。

 

 

水産物のMA貯蔵による品質管理

 お刺身の美味しさには、いろんな品質が関わっています。安全で美味しくお刺身を食べるために、貯蔵の際に脱酸素剤を封入して酸素を除去することで、色調や風味の変化や細菌数の増加を抑制し、良好な品質管理が可能となることを報告(2014) しました。左の写真をみると、カンパチの血合肉の色調が酸素を除去することで、1週間貯蔵しても保持されていることがわかります。また、臭いの変化も少なく、風味は保持されていました。

 脱酸素剤を封入したMA貯蔵では色や臭いなどの劣化が抑えられるために、刺身の優れた指標といわれる値を指標にして品質管理ができます。また、K値は温度や貯蔵時間などがわかれば、コンピュータでの鮮度予測やWebでのデータ管理が可能です(2000)。さらには、K値はスマートフォン・アプリを通してシミュレーション(左図:開発中)もできます。

 このようなメリットを応用すると、K値を指標として消費期限を日時(時間単位)で表示することができ、今まで難しかったコンビニでのお刺身の販売が可能となり、高齢化社会における新しい生鮮魚の販売を提案しています。 

 

※特許公開

 http://www.rdc.kagoshima-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2019/02/JPA-2018203439.pdf

※鹿児島大学シーズ集

 http://www.rdc.kagoshima-u.ac.jp/seeds_search/upload/9-Fd-kaminishi-fsh.pdf

 

ヒスタミン生成菌の検査方法の検討

 化学性食中毒の3/4が、赤身魚やカジキなどの魚を食べることによって起こるヒスタミン食中毒です。魚介類おけるヒスタミンの生成には細菌が関与していますが、その種類はモルガン菌やフォトバクテリウム属をはじめ、多数の細菌が報告されています。

 ヒスタミン生成菌の検出法がいくつか報告されていますが、それぞれで栄養要求や生息環境が異なることから、ひとつの培地で報告されている細菌すべてを検出できるとは限りません。

 

 私たちの研究室では、多くの細菌種に対して一次スクリーニング(写真下)の推定試験で幅広い原因菌の検出を可能とし、細菌をピックアップしてヒスタミン生成能を確認(確定試験)、16S rDNAあるいはヒスチジン脱炭酸酵素遺伝子の分析による細菌種の同定(完全試験)までを行うための分析法に取り組んでいます。

 

 

生鮮刺身の色変わり特性と官能評価

 お刺身の測色値(L* a* b*)から色差などを分析して、さらに写真と比較することで、貯蔵中の刺身の色の数値変化を人の感覚による判断と比べてみました。

 図は、刺身の色を比較した際に得られる色差と人の感覚(官能評価)について評語としてまとめたものです。いままでは、それぞれの思いを言葉として表していたために、用いた言葉にどの程度の差があるかを知ることはできませんでした。用語を統一することで、色の違いを共通認識できるようになります。

 

 

ウナギの緑色蛍光タンパク質に関する研究

 鹿児島大学水産学部の林教授は、ウナギの筋肉に他の魚類にはない「緑色蛍光タンパク質(GFP)」が存在することを発見しました。その後、このタンパク質は理化学研究所の熊谷らにより、「血液中のビリルビン」をリガンドとして蛍光を発することが明らかとなりました。

 私たちの研究室の博士課程に所属していた舟橋は、世界の主要なウナギGFPを遺伝子組換え技術を使い、それぞれの特性を発表しました。現在、この遺伝子の誘導発現メカニズムや生物学的な意義について調べています。

 

(上:シラスウナギの緑色蛍光、下:成魚腹腔部)